人間の赤ちゃんとのテレパシー会話に反対します!
Baby communicationについて
最近日本で、人間の赤ちゃん(0~4才位)や胎児とテレパシーで話をしている人たちがいることを知りました。しかもその中には、アニマルコミュニケーションの勉強をしてテレパシーについて多少のことを知り動物と何らかのレベルで話せるようにはなったけれど、まだ経験がとても少ない人もいるときいて、驚いています。
親子の関係をよくするためのお手伝いとして、小・中学生の子どもにスピリチュアルカウンセリングを行い話し合うことには私は賛成です。でも、胎児から4才位までの子どもとのテレパシーを使ったコミュニケーションにはいくつもの問題があると考え、Baby communicationというものには絶対に反対です。もちろん、それをしている人たちを止めたりコントロールすることはできませんが、私のクラスではBaby communicationをすることには講師として絶対反対のスタンスをとっており、Baby communicationをしている方は生徒として受け入れることはできません。
まず大きな問題だと思うのは、まだ言葉を話せない赤ちゃんを相手にしているということは、テレパシーの勉強をする上でとても重要な「検証」はどうなるのでしょうか?親からの「検証」は不可能なのです。ということは、コミュニケーターから間違った答えをきかされても、親たちは信じるしかないのです。
私はアニマルコミュニケーションの勉強を始める前からヒーリングを学び続け、その後過去20年以上にわたってアニマルコミュニケーションだけでなくスピリチュアリティについても勉強してきています。そうした豊富な経験から、もしもの場合に必要があれば、私は赤ちゃんと正しくコンタクトをとることができると思います。ですが、「未熟であっても自分が信じるものにチャレンジしたい」という気持ちで赤ちゃんから霊の原点に関わることをききだそうとしても、浅い経験ではごく表面的な内容しか受け取ることはできません。
アニマルコミュニケーターとしてはまだ経験がほとんどない(1~2年でも私はそう考えます)ような未熟な人たちが、人間の赤ちゃんを相手に、親たちから頼まれたとても大事な質問をテレパシーでのコミュニケーションをして尋ねるのです。「どうして私たち夫婦を親として選んだの?」「今回生まれ変わってきたことにどんな目的があるの?」などの問いかけに、赤ちゃんは例えばこんな風に答えることがあるそうです。「神様が『この親たちのところへ行きなさい』と選んでくれたから。」または「(その赤ちゃんが)今世でしたいことがやりやすい、理解されやすい親を選んだから。」と。
そもそも人間が生まれ変わってくるということにはとても様々な層の複雑な理由があって、どういう性格の親のもとで、どんな環境で、どういう生涯の経験を求めてくるかということは「神様からそこへ行くように言われたから」ですむような簡単な答えではあり得ないのです。
霊の生まれ変わりでは、私たちはだいたい同じ家族に戻ってきます。そこでは劇団のように、ほぼ同じ顔ぶれの中で配役が変わるのであって、神様が「はい、今度は今まで経験のないこの親たちのところへ行きなさい」ということではないのです。そして、何代も同じ顔ぶれの環境にまた戻ってくるのは、ある時点でそれぞれがお互いに助け合うことを約束しているからだと思うのです。だから、関係がうまくいかなくても、例えば私と母のように難しい関係にあっても、お互いから学んで、心の成長や人間としての成長を促す要素がどこかにある。親子としていい関係ではなくても、何か得られる点やよくなかったことから特に学ぶ点、お互いから学ぶ点が浮かび上がってくるのです。そうしたことを理解して受け容れることが、生きていく上で大切なんです。最終的にはうまくいかなかった関係でも、その原点ではお互いに愛をもっていて、その愛情があるからこそなんとかして助けようとする。それは、飼われている動物たちと人間の関係に当てはまると思います。動物たちは、問題行動や病気(治らないで死んでしまう場合も)を抱えるような大変な状況にあっても、飼い主さんの幸せのためのお手伝いをしたいというのが原点です。人間同士の場合でも、結局のところお互いの幸せを想って、役割が変わっても毎回また同じところへ戻ってくるのです。
前述のように未熟なアニマルコミュニケーターが赤ちゃんに尋ねて得たような答えは、私にとってはあまりにもシンプルすぎるスピリチュアリティであり、どの赤ちゃんにも共通する上辺の内容に過ぎません。神様から「この親のところへ行きなさい」と言われたというのもその通りでしょうが、それは全ての命に当てはまります。私たちが生まれる前には、自身の願いプラスもっと力のある上の存在の願いを一緒にして、「いつ、どういう環境に生まれ、どんな生涯を生きていくか」が決まるのであり、そこには神様の力が働いている。神といいたくなければhigher powerとでも呼べるものの影響はあり、それも全ての子どもに言えることなのです。
Baby communicationが問題だと私が考える理由は他にもあります。
子どもたちが0才から3才位まで成長していく間に一番大切にすることは、安全な場所、信頼できる自分の親がいて愛情をもって温かく育ててもらえることです。
例えば赤ちゃんの霊とのコミュニケーションで、その子には音楽家になりたいという目的があってそのために音楽家の両親のもとで育つという環境を選んできたということがわかり、それを母親に伝えたとします。それを聞いた母親は、ではその子にいつからピアノの練習を始めさせるのかということで頭がいっぱいになってしまう可能性がありますが、その子どもがいつ音楽を習い始めたくなるかはわかりません。1才や2才という幼い時からピアノを弾くことになるのか、それとももう少しいろいろな道を通って他の経験もしながら、最終的にたどり着くのがピアニストなのか。それはテレパシーでのコミュニケーションで尋ねたとしても、その子自身がその時にわかっているかどうかも不明です。またはそういう目的をもって生まれてきたけれど、途中でその考えが変わる可能性もあります。それにもかかわらず、母親がBaby communicationで知らされた内容を信じこんで、その子の目的のために「ピアノの練習をさせること」に固執するあまり、本来子どもを育てていくのに一番大切なことが置き去りにされてしまうかもしれないのです。子どもがまだ言葉を話せなくても、両親との肌と肌のふれあいを通じてお互いの感情を理解し合うこと、特に赤ちゃんが母親の胎内で過ごす9ヶ月間に様々なことを感じながら育まれる密接な関係が、0才から4才位までの子どもとその親にとって何よりも大切だと私は思います。その子が生まれてきた目的や将来がどうかということよりも、幼少期にいかに安全に、愛情があふれるいい環境で育っていけるかを考えることがとても重要だと思うのです。
私たちがテレパシーを使って動物たちと話をするのは、私たちには動物の言葉はわからないからです。犬が吠えたり猫がにゃあと鳴いたりしても何を言っているかわからないけれども、この宇宙には様々な種類の生命の共通の言葉としてテレパシーがあるのです。だからこそテレパシーを使ったコミュニケーションで動物たちを理解し、彼らの存在、生きている原点などについて動物と話すことができます。でも、人間の赤ちゃんは生まれてすぐには話せませんが、成長とともに単語をピックアップして覚えていき、やがて人間の言葉を話し始めます。それに応えるためには母親はテレパシーに頼るのではなく、言葉やふれあいを通じてもっと直接的にその子と関わっていくべきだと思います。
アメリカではBaby communicationというものは聞いたことがありませんが、別のヒーリングの方法として占星術(astrology)を使う人たちがいます。親からのリクエストで赤ちゃんが生まれた日時のホロスコープ、バースチャートを作成し、それらを基にその子どもの可能性や将来の方向性、過去や今世でのエネルギーの動きなどを判断するのです。子どもについての一つの情報として知っておくというくらいの位置付けで、バースチャートを作ってもらうという親はけっこういると聞きます。でも、そうしたチャートが示すのはその子がもって生まれてきた「いくつかの可能性」であり、「可能性」というものはたくさんあるのです。
アニマルコミュニケーションを始める前にヒーリングを勉強していた時、私は先生から「人はみんな少なくとも3つ、だいたい4~5つの方向の可能性をもって生まれてきている」と教わりました。また自分自身の経験からも、一つの可能性へ向かったけれど、何らかの関係や理由でそれが変わって、また別の方向へ進むということはあるとわかっています。複数の可能性というものは、必ず誰にでもあるのです。Baby communicationnで胎児や赤ちゃんから「自分はこういう目的があって・・」云々という内容を聞き出したとしても、スピリチュアリティの観点からもそれは極めて浅い答えであり、子どもたち一人一人にはもっと多様な可能性があるのです。そういうことも知らず、たった数ヶ月アニマルコミュニケーションを勉強しただけでBaby communicationだなんて、「冗談じゃない!!」というのが私の気持ちです。
前にも書いているように、小学校高学年から中学生くらいの年齢になった子どもが、学校や家庭で問題を抱えていたり、または両親との関係がうまくいかなくて苦しい思いをしている場合に、その親子の間に立って何らかのお手伝いをしたいということは理解できます。そのために、テレパシーコミュニケーションではなく、チャネリングとしてスピリチュアルカウンセリングを行うことには私は賛成です。でも、父親でも母親でもない全くの第三者が胎児や生まれたばかりの赤ちゃん、またはすでに言葉がある程度通じる4才位までの子どもの心にコネクトして、テレパシーであれこれ話すということに、しかも経験の少ない未熟な人たちがそれをすることに私は驚きと強い怒りを感じます。そしてそれはとても怖いことだと思っています。そういうことよりも、もっと親が子どもと積極的に言葉を使ってコミュニケーションし、親子の親密な関係を築くようにしていくべきだと思います。
これまでにも、ある日本のコミュニケーターたちがおかしなことをやっていると耳にしたことはありますが、その中でもこのBaby communicationは最も怖いことだと私は感じています。あらためて、胎児や生まれて間もない赤ちゃん、幼い子どもたちとは、絶対にこんなテレパシーコミュニケーションはしてほしくないと、はっきりと書いておきたいと思います。
私は15才で日本を離れたので、日本語で文章を書くとなると、うまく書けるか自信がないので、お伝えしたいメッセージを音声録音にして、私が尊敬している生徒さんの一人、鷲巣有美子さんに文章にしていただきました。